*『心』の大切さを浮き彫りにする2つの要素。「秩序」と「自然動物界の掟」。

 

『心』を語る上で、無くてはならない要素が2つあります。それは「秩序」と「自然動物界の掟」です。何故この2つの要素がそれ程関係してくるのか。それは、『心』についての説明が終わった時、皆さんも同時に、深く理解されることと思いますので、「秩序」と「自然動物界の掟」について、いつもより若干文章量が多くなりますが、大変重要なことですのでどうかお付き合い下さい。では初めに、「秩序」について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

 

 

最先進国という言葉を聞いてまず思い描く国は「アメリカ」でしょうか。今日本は急速に、「最先進国」を目指すがごとく、振り返ることなく、何の検証もせず、一心不乱にアメリカ社会を目指しているようです。私が体験した「アメリカ社会」の素顔を披露しましょう。皆さんは「パンフレット」の素敵な写真や、新婚旅行で思い描く素敵なビーチなどが頭に浮かぶかも知れません。いえいえ、それは観光向けに手を加えた仮面に過ぎません。本当の、アメリカ社会の素顔はどの様な姿なのでしょう。

 

30年ほど前に、友人達とサンフランシスコの街並みを小型バスで移動中、ガイドさんはこう言いました。「この街には絶対に降りないで下さい」と。バスから外を覗くと、様々な国から観光に来ているような観光客。男性同士、女性同士のカップルや、銃をぶら下げた2人1組の警察官。同性愛者の数の多さにはびっくりしましたが、よく目を凝らすと「不審者」が、どこかしこに辺りをうかがっている事に気付きました。話を聞くと、気を緩めた観光客目当てに、「銃で脅して金品を略奪する者」、「女性目当てのレイプ魔」、「麻薬の売人」、「悪質な客引き」等々、日本人は現実離れをしていて、日本以外の世界の実態をよく知らず、ぼんやりしているので最も狙われるそうです。パンフレットに掲載されるレベルでこの様な状態なのです。

 

次にロサンジェルス、サンディエゴでのこと。私がホテルにチェックインすると、フロント職員はおもむろに、地元の地図をテーブルに広げ次のように言いました。赤いサインペンで次々に丸をしていき「ここと、ここには絶対に行くな。日中でも気を付けろ」と。日中外へ出てみると、目の当たりにした風景は次の様な状態でした。まるでスラム街の様な廃墟があちらこちらに見え、浮浪者が寝転ぶ。壁にはイタズラで書かれたペインティングの数々。そこら中に不審者がおり、麻薬の売人が建物の陰や裏路地の交差点付近にうようよ居る。どこにいてもすぐ事件が起きそうな、不穏な空気が街全体を覆っていました。

 

 

ここで話を反転させ、架空の街並みですが、私が思い描く理想的な街並みをお話しましょう。

 

この街の景観はどこを見ても自然という緑にあふれております。ビルや建物、その周辺を見てもよく掃除が行き届き、イタズラのペインティングは一切ありません。道行く人々、大人達は「品のある服装」、「礼儀正しい言葉遣い」をしています。悪いこと、いたずらをしている子供を見かけると、近くにいる大人は間髪入れずに注意をし、「正しい考え」、「正しい行い」を言って聞かせ、ただ注意するだけではなく、必ず「事の理(道理)」を説きます。歩きながら、自転車に乗りながら、車を運転しながら、「スマートフォンでしゃべっている」、「スマートフォンに夢中になっている」大人は、何と一人もおりません。この街では「携帯電話」、「スマートフォン」、「タブレット」は「便利だから」と称して結局のところ、「自分が楽しいから」、「自分が面白いから」と遊びにしか使わないからと、誰一人持とうとしません。皆さん口々におっしゃるには「自分のことよりまず、次世代を担う子供を中心に考えなさい。大人は子供にとって、いつも見本でなければならない。子供は親の、大人の後姿を見て育ちます、絶えず見本たれ」と。なるほど、だから犯罪という犯罪は皆無で、社会問題もなく、全ての子供達は元気闊達なのですね。

 

ここからが問題です。ここで、皆さんは引っ越しをしなければならなくなりました。皆さんはどちらの街に引っ越したいと思いますか。実は皆さんは自由に選ぶことはできません。殆どの方々は「スラム街」、「犯罪社会」に、大切な子供と一緒に移り住まなければなりません。皆さん、そう言われたらどう思いますか。先に出てきた大人の様に「子供の見本たれ」を実践できているでしょうか。大人の、自分の言い分より、未来を担う子供の「健全な成長」を最優先し、実践できている大人と、その家族だけが住むことが許されております。

 

2つの街を、代替する言葉で表現するならば「理想秩序社会」と、「無秩序社会」とも言えるのではないでしょうか。その理由は、一方は「風紀」、「節度」、「道徳(モラル)」、「規範」、「約束」、「秩序」が一切乱れない抑止力、理想とする『心』が完成されており他方は、「風紀」、「節度」、「道徳(モラル)」、「規範」、「約束」、「秩序」を一切考えない、抑止力を放棄した大人達しかいないからです。社会の在り様で、最も大切な要素は「秩序」であることに気付かなければなりません。分かり易く理解する場合、それが無かった情景、逆の環境を考えればすぐに判明します。「無秩序社会」とは、一切「風紀」、「節度」、「道徳(モラル)」、「規範・規律」、「約束」、「品格」、「いたわり、慈しむ」、「他を思いやる」、「崇高さ」、「気高さ」、「高い志」といった、「人間」にとって、決して「失ってはいけない特性」が、何一つない、凶悪社会、犯罪社会、希望が一切存在しない地獄絵が現実のものとなる、これが「無秩序社会」の姿です。現代社会は声高に「理想は!」と訴えたり、「世界的権威はこう言っている」とか、「メディアでは豊かな社会が良い」等々、国民が混乱することばかりはやし立てますが、振り回されてはいけません。いつも原点を見つめることです。枝や葉っぱの「小言」は放っておきましょう。大切な子供達の未来が掛かっています。どうでしょう、「秩序」の大切さ、「秩序」が全てに優先されなければならない理由が、お分かり頂けたでしょうか。

 

日本中の子供達が不安がっています。子供の未来を、子供の気持『心』を優先してあげましょう。「俺の、私の、、、快適、便利」より。