「心を込める」、「心が洗われる」、「心を尽くす」。「真心」、「赤心」、「良心」。「以心伝心」、「心機一転」、「誠心誠意」など、『心』についての慣用句や熟語など、日本語には実に素晴らしい表現が多種多様あります。日本の文化の礎は、この『心』にあるのかも知れません。ここから少々、『心』の旅を始めてみましょう。
外国には『心』は存在するのでしょうか。『心』に相当しそうな単語を集めてみましょう。「heart」、「mind」、「spirit」、「soul」を挙げてみます。「heart」は、「温かさを持つ気持ち」、「優しい気持ち」であったり、「心臓」の部位を指すときに外国では使われます。「mind」は、「思考」、「意思」、「知性」を表し、「spirit」は、「精神」、「魂」となります。最後の「soul」は、「魂」といったところでしょう。日本人からすれば、『心』とはもっと別のものになるのではないでしょうか。逆に日本以外の世界では、『心』という概念が存在していないのが現状です。
『心』という言葉は、現在では世代毎に感じ方やとらえ方が違ってきているようです。10代~30代の人に『心』について尋ねると、殆どの人が「心って何?」といったように、戸惑った反応が返ってきます。40代の人は、過半数が「良く分からない」、「聞いたことはある」となり、50代の人の多くは「分かります」、「良く聞きます」と返事をされます。そして60代以上の人に尋ねると、「気持ちを込めること」、「精神性」など、やや具体的な言葉が出てきます。ですが、過去の文献を調べても、聖徳太子や武士の歴史に於いても、『心』について決定的な回答、誰が見ても「これが『心』の全貌なのだ」と深く理解できる、皆が共通理解できるまでに仕上がった回答は、実は未だ存在していないようです。
現在、「児童虐待」をする大人が増えていること。「行き渋り」、「不登校」、「自殺」、「ニート」、「引きこもり」となる子供、若者も急増しています。社会に於いては、「3年以内の離職者」(すぐ会社を辞めてしまう)の数が膨大になっているのが現状です。さて、これら諸問題で実は共通するものがあります。そして、その共通する要因が解決さえすれば、「児童虐待」をする大人、「行き渋り」、「不登校」、「自殺」、「ニート」、「引きこもり」、「3年以内の離職者」は、全て奇麗に解決すると言ったら驚かれるでしょうか。実は本当に解決されてしまうのです。それは「心を正しく育てる」ことです。「心を正しく育てる」ことって、どの様なことなのでしょう。今となっては、インターネットでいくら検索しても、どの様な文献、書物を探してみても、誰に尋ねても「正しい回答」を出してくれる人はいないようです。
ではここで、「正しい心の育て方」について、深く掘り下げていきましょう。「正しい心の育て方」の前に、『心』とは何かについて理解を深めるために、今一度『心』について違う角度で見ていきましょう。『心』の全貌が分かると、何故「児童虐待」をする大人が増えるのか、「行き渋り」、「不登校」、「自殺」、「引きこもり」、「ニート」、「3年以内の離職者」が増える理由も明快に見えてくることでしょう。また、『心の全貌』を知ることで、日本中の、いや世界中で問題になっていることの全てに、終止符が打たれることになるかも知れません。
*次回は、『心って何』について