赤ちゃんたちの様子
最も治療効果がある時期です。
生後2~3か月頃の赤ちゃんをみると、はっきりとpvlの症状が出ていないことも多いですが、左右で足の太さが違う、強い反り返りがあるなど、見てすぐわかる特徴が現れていることもあります。
多くは3か月を過ぎた頃から、少しずつ現れてくる印象があります。
背中や各関節に硬さが出始め、pvl特有の姿位がみられます。
手足につっぱり感がある、動かし方に左右差がある、いつも同じ方を向いているなど、姿勢異常につながる兆候が現れてきます。
他にも、寝つきが悪い、すぐに起きてしまう、ミルクがうまく飲めない、排便しづらいなど、子育て中によくあるお悩みもあります。
しかし、これら一般的なお悩みも、pvlの特徴と重ね合わせ見てみると、見えてくるものがあります。
低体重で生まれ、身体の生理的な働きも未熟なうえ、麻痺の影響でいつも身体に力が入り、リラックスできない状態。これでは、寝つきが悪くなり、すぐに起きてしまうのも想像できる気がします。
眠ること、ミルクを飲むことは、赤ちゃんの成長の土台になりますが、そこが整いにくいのもpvlの赤ちゃんにはあるようです。
1歳~3歳の子どもたちの様子
赤ちゃん時代が過ぎ、1歳になる頃から発達に少しずつ開きが見えてきます。
しかし、発達が遅いからと言って焦らなくても大丈夫です。
発達のスピードよりも、子どもに合わせた身体作りをしていく事が重要です。
例えば、ハイハイを1年もやっているのに、まだつかまり立ちをしませんと、悩む親御様がいらっしゃいます。
お気持ちは十分理解できますが、つかまり立ちをしない理由が必ずあります。
その理由を探し治療していけば、数カ月でつかまり立ちの兆候を見えてきます。
焦るよりも理由を探し、ひとつひとつつかまり立ちができる土台を作っていくことが大切です。
また、pvlの子どもたちに多いのは、お座りの時に、体幹が安定しない事です。
お座りをさせても、前に倒れてしまったり、前に倒れるほど体幹が弱いのに、反り返りが強いので、のけ反って倒れてしまったり、いつも左右どちらかに身体が傾いていたり。
硬さと柔らかさが一緒にあるというイメージです。
病院では、座位保持椅子、バギー、お靴、短下肢装具を作る子も多くなってきます。
また、痙性麻痺の子には、ボトックス注射や手術を病院で勧められますが、時間と共に、戻ってしまうことが殆どで回復するわけではありません。ですので当院では推奨しておりません。
4歳~就学前の子どもたちの様子
3歳までの身体つきとは、大きく変化する時期です。
硬さが強い子どもたちほど、姿勢異常も目立つようになり、ストレッチやマッサージにより多くの時間が必要になってきます。
発達はさらに開きが見えてきてきます。
この時期は、独歩に向けたトレーニングも視野に入れ治療が行われます。
病院では、手術などを勧められるケースもあります。
子どもたちは、トレーニング的なことに興味を示し、マッサージやストレッチなどの、受け身の治療から、能動的な治療内容が可能になってきます。
3歳までに身体の土台を作り、4歳からはその土台を生かし、色々な動作に発展していけたらと思っています。
年長さん~小学校低学年の子どもたちの様子
小学校に入学する前に、『かかとが着かなくなってしまったので、何とか入学するまでにかかとをつけた歩行ができるようになりますか』と、受診されるケースが少なくありません。
リハビリや療育に通い順調な経過でも、年齢が上がるにつれて、かかとは浮きやすい状態になるようです。
このような時、乳幼児期からの十分なケアの必要性を感じます。
姿勢異常は、乳幼児期から少しずつ積み重なっていくものですが、早いうちであればあるほど取れやすいものでもあります。
この年齢で治療を始める子どもたちの身体を見ると、これまで動きに制限がある中、最大限工夫して、身体を使ってきた形跡が見られます。
麻痺が比較的症状の軽い子でも、筋肉のつき方に左右差があったり、ヨガの猫のポーズなどをさせてみると、腰が左右どちらかに曲がっていたりと身体の歪みが見えます。
軽い症状の子であれば、再びかかとを着けて歩くことは十分可能です。
また、尖足に限らず、手の使いづらさや、腕が上がりにくい、正座ができないなど、日常生活でのちょっとした不具合なども、十分治療効果は見込めます。
成長期にあるpvlの子どもたちと姿勢異常
将来、車いすや杖が必要になる子から、日常生活には支障なく走り回る子まで様々です。
脳室の状態やてんかんの有無など、そして、それらにより身体が受ける影響は異なります。
身体が受ける影響とは、脳から受ける信号により、筋肉が硬くなったり、関節に変形が現れたり、アライメント(骨の並びの位置関係)が崩れてしまったりすることです。
これがpvlの二次障害といわれる姿勢異常の大きな原因になります。
一度崩れてしまったアライメントをもとに戻すことは難しいですが、成長期の子どもたちをみてきて、治療やトレーニングで防いでいけることも分かりました。
これが、子どもたちに感じる大きな可能性です。
鍼の効果
鍼をすると、深層にある、直接触れることができない筋に鍼が届くため、過緊張を弛緩させる作用が発生(*当院独自刺鍼法)致します。ここが当院の最大の特徴でもあります。
例えば、鍼をする前は反り返りが強い赤ちゃん、反対に猫背のように身体を丸めていた赤ちゃんが、刺鍼後は背中の筋がゆるみ、リラックスしている姿を見せてくれます。
また寝つき、睡眠に問題を抱えている子どもたちが、鍼をした日からよく寝るようになったというお話をよく伺いますが、これは筋が緩むことにより、心身共にリラックスしたからでしょう。
そのような赤ちゃんや、子どもたちにとって、大和鍼灸院の治療は、発育の基盤作りにもなっています。
ストレッチや運動の効果
筋の緊張が緩んだだけでは、正しいで身体の使い方を覚えることはできません。
赤ちゃんのうちから、身体を動かすことを少しずつ制限され、硬さゆえにできなかった関節の動かし方、また身についた動作の癖を修正していきます。
pvlによる脳からの誤った信号により、正しくない過緊張の動きを子どもたちは覚えてしまいます。
しかし、鍼でほぐれた身体に、ストレッチや運動をすることで、さらに可動域があがり、間違って覚えた動作は修正されやすくなります。
動作に必要な柔軟性、正しい関節の動かし方を、ひとつひとつ丁寧に教えていくことで、子どもたちは、より正しい身体の使い方を覚えます。
また動かされることで筋力もつき、しっかり身体を支える土台ができてきます。
赤ちゃんの首すわりから、学童期の歩行練習に至るまで、どの成長段階にある子においても、大切なものになります。
この方法は、子どもたちの経過をみていく中で、とても有効でした。
これが、ストレッチや運動が大切な理由です。