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PVL/脳室周囲白質軟化症 レポート14
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PVL/脳室周囲白質軟化症 治療前・治療後の最新動画 レポート14

レポート1~4までは、PVL(脳室周囲白質軟化症)当院の指標、PVL/大和スケール・グレード3を軸に公開致しました。グレード3は様々な緊張はあるものの、「独歩が出来る」お子さんのグループになります。緊張、運動障害の出方がはっきりしており、また軽度グループなので、治療効果の変化が大きく出やすく、分かり易いグループになります。参考までに下記に、グレード1~3、グレード4~6、グレード7、8、グレード9、10を掲載します。

  • グレード1~3 軽度であり、かかとが浮いてしまう、足先が内転するなど、様々な緊張や硬さといった麻痺はあるものの、自身での立位、独歩が出来る。
  • グレード4~6 やや重い運動障害や若干の知的障害を伴う場合がある。自身での立位不可、独歩不可。全身各所の筋の過緊張が強く出ており、足がクロスする。
  • グレード7、8 出生時体重500g以下で予後不良、または新生児仮死などの合併症をわずかながら伴うグループ。かなり重い運動障害や知的障害がある。自身での立位不可、独歩不可。グレード4~6よりも一段と全身の過緊張が強く出る。
  • グレード9、10 最重度の運動障害、知的障害がある。3才になっても寝返り不可、移動不可、視力0で、治療効果が大変出にくいタイプ。

 

レポート14

T.Y君 初診: 令和3年 10月3日 (6才6ヶ月)

医師から言われた言葉
30週0日1353gで生まれ、出生時は異常なし。
1歳10ヶ月のとき、初めててんかん発作が起き、MRI検査をしたところPVLであることが分かる。成長してみないと分からないが、主に下肢に麻痺が出ることが多い。右手、右足に少し麻痺があると言われた。

 

成長の記録
1歳半頃までの成長は、少し遅めではあったが修正週数でみるとほぼ一般的な成長過程であった。しかし、1歳半を過ぎてもなかなか歩けなかったのでこの辺りから何か病気があるのかもしれないと思い始めた。1歳10ヶ月の時、てんかん発作が起き検査をするとPVLであることが分かり、歩けない原因も分かり納得できた。
2歳から6歳までPTを定期的に受け、バランスが悪いながらもどうにか独歩ができるようになる。しかし、どんどん歩けるようになるに連れて少しずつ踵が浮くようになる。
また、右足が内旋し、右足のつま先も擦るようになる。その為、いつも右足の靴のつま先が擦れていた。
その頃、病院では装具やボトックスやアキレス腱延長術の話が出るようになる。
元々鍼治療の存在は知っていたが、改めてPVL治療について調べてみると大和鍼灸院のHPの動画に衝撃を受け受診を決める。先生のお話を聞くと、息子の場合「十分回復するでしょう」と言われ希望が湧き、治療する事を決意する。
週1回一日治療を5ヶ月間受けた後、3週間特別治療を受ける。3週間特別治療後の現在は、ゆっくり歩くと踵は着くようになり、右足の膝の内旋は少しずつ正面に向くようになった。
現在は、週2回の1日治療に通院中。

PVL/脳室周囲白質軟化症動画1 令和4年(2022年)5月13日公開

 

 

お母様からのコメント

*治療終了時にコメントを頂きます

 

院長コメント T.Y君   PVL/脳室周囲白質軟化症 グレード3

初診 令和3年 10月3日 (6才6ヶ月)
3週間特別治療 令和4年 3月22日~4月10日 実施

さて、今回は「独歩(かかとが浮く)」が出来るお子さん、3組の方々にご協力を頂きます。また年齢も5才~6才と皆さん、年齢の近いお子さん方です。歩行を含め、かかとの浮き、足先の内旋等、色々な麻痺の出方があるので、是非ご覧下さい。*5月、6月、7月と順次公開する予定です。

1組目で、最初に公開させて頂くT.Y君は現在7才になり、1才10ヶ月の時に「てんかん発作」を発症します。ですが、このてんかん発作は発症後、現在に至るまで1~2度、軽度の発作が起きただけで、発作はそれ以外に全く出ておりません。抗てんかん薬(バルプロ酸/デパケン)を1才10ヶ月から服用しておりますが、服用する量は初めの量と変わっておらず、当院では「熱性けいれん」とみなし、「準合併症」と判断しました。「準合併症」の場合、主訴のPVL治療に対して、殆ど影響がありませんので順調に回復していくでしょう。

さて、今回は3本の動画をご覧頂きます。1本目は治療直前のもので、お外で歩いている動画を見て頂きます。靴を履いておりますが、履いている状態でも麻痺の出方は良く分かります。まず「かかとの浮き」は右足の方が強く出ており、左足も若干浮いております。足先の内旋はやはり右足の方が強く、左足も少しだけ内側に入り気味ですね。

次の動画は「3週間特別治療」終了あたりのものです。ゆっくり歩いてもらったり、普通の速さで歩いているものです。右足のかかとの浮きは、時々浮いているときもありますが、しっかり地面に着くようにもなってきました。左足のかかとの浮きは、もう殆ど無くなっていますね。両足の内旋はどうでしょう。右足の内旋が以前は強く出ていましたが、大きく内側に向くことは無くなってきています。順調に麻痺が取れ始めていますね。

最後の動画は「屈伸」をしてもらった動画です。普通屈伸をするときは、足やかかとの力を、適度に抜かなければ上手に出来ません。ですが、かかとが浮いてしまう小児の場合屈伸をしようとすると、「力を抜く」といった動作が緊張のためにできないため、無理にしようとすると逆に、緊張によって「力が入る」ので、尖足(かかとが浮く)になってしまいます。(*緊張が弱いケースや、関節が柔らかい女児の場合、かかとが浮かないこともあります)。
動画を見てみましょう。後半ですが、まずはしっかり両足をそろえてまっすぐに立ち、その姿勢からゆっくり屈伸をすると、少しだけではありますが、かかとが尖足にはならず、かかとが90°以上曲がっていますね。この様に、わずかであっても屈伸が出来るようになるには、足全体だけでなく足首の緊張も、かなり取れていなければ出来ない光景であることを触れておきましょう。

T.Y君は「3週間特別治療」を終了しました。この時点は、治療期間の序盤あたりとお考え下さい。これから治療中盤、終盤へと続きますが、この後緊張の取れ方が早まっていきます。

PVL/脳室周囲白質軟化症動画1 令和5年(2023年)9月20日公開

 

さて、レポート14、T.Y君のその後を見てみましょう。T.Y君はお家のご都合で今年春頃から1ヶ月に1回の通院頻度になりました。通常は「かかと」の着きがかなり安定するまで、毎週通って頂くのですが、T.Y君の場合、お家の練習と1ヶ月に1回の治療で十分、緊張は取り切れると判断し、この治療ペースに切り替えました。さて、今年5月頃のものになりますが、T.Y君の「その後」を一緒に見ていきましょう。

1つ目は自宅での歩行練習です。多少ぎこちなさはありますが、「かかと」はしっかり着いています。T.Y君のかかとの状態は、そう悪くはありません。通常かかとが着きにくいときは、膝が曲がることはなく「緊張」のため、ピンと伸び切ったままかかとを着けようとします。ですがT.Y君の場合、歩行練習時に「かかと」を付けた瞬間、右足も左足も「膝が前に曲がって」かかとを着けていることに注目して下さい。かかとが着いている瞬間、膝を前に曲げられるということは、かかとを曲げるときに筋肉を「緩める動作」が出来、余分な力が入らないところまで出来上がっているので、「膝を曲げる」余裕が生まれるのです。膝が曲がったままで「かかと」も同時に付けられるということは、膝が曲がっている分「かかとの角度」が90°より深く曲がっていることが大事です。言い換えれば「かかとを深く曲げられる」とも言えます。それを証明する動作が次のメニューに現れます。

2つ目は、屈伸より難しい「しゃがむ」動作です。しゃがんだ時のかかとの角度をご覧下さい。かかとは90°以上曲がっていることが分かります。

最後の動画はお外での歩行です。上手く走ることも出来るようになってきましたが、普通の歩きを見ていきましょう。靴を履いたままですが、かかとはしっかり着いています。次回の動画が楽しみですね。この動画は9月に公開されましたが、現在T.Y君の歩行は、段々と自然体な歩き方に変わってきています。ご期待下さい。当院ではどのお子さんも「治療前」と「治療後」の治療効果がはっきり分かるように、動画を配信していきます。

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