PVL/脳室周囲白質軟化症 治療前・治療後の最新動画 レポート10
レポート1~4までは、PVL(脳室周囲白質軟化症)当院の指標、PVL/大和スケール・グレード3を軸に公開致しました。グレード3は様々な緊張はあるものの、「独歩が出来る」お子さんのグループになります。緊張、運動障害の出方がはっきりしており、また軽度グループなので、治療効果の変化が大きく出やすく、分かり易いグループになります。参考までに下記に、グレード1~3、グレード4~6、グレード7、8、グレード9、10を掲載します。
- グレード1~3 軽度であり、かかとが浮いてしまう、足先が内転するなど、様々な緊張や硬さといった麻痺はあるものの、自身での立位、独歩が出来る。
- グレード4~6 やや重い運動障害や若干の知的障害を伴う場合がある。自身での立位不可、独歩不可。全身各所の筋の過緊張が強く出ており、足がクロスする。
- グレード7、8 出生時体重500g以下で予後不良、または新生児仮死などの合併症をわずかながら伴うグループ。かなり重い運動障害や知的障害がある。自身での立位不可、独歩不可。グレード4~6よりも一段と全身の過緊張が強く出る。
- グレード9、10 最重度の運動障害、知的障害がある。3才になっても寝返り不可、移動不可、視力0で、治療効果が大変出にくいタイプ。
独歩が出来るタイプのお子さん方は、治療期間が最も早く終了するタイプですので、
独歩が出来るお子さんがいらっしゃる方は、早期に治療を行った方が良いでしょう。レポート4までは、分かり易い変化をする、独歩が出来る軽度グループを先行して公開致しました。さて、準備が整ってきましたのでこれより、やや重いグループ、グレード4~6をしばらく公開致します。今しばらくお待ち下さい。
レポート10
A.U君 神奈川県在住 初診 2年9月15日(8ヶ月) PVL(脳室周囲白質軟化症)及び合併症・晩期循環不全
医師から言われた言葉
・脳の両側に5mm程度のPVLあり。
・踵が硬くなるといった症状が出る可能性がある。
・何も症状が出ない可能性もあるし、重く出る可能性もある。
・症状が出ても、早期療育することで歩けない、といったことはないと思う。
・半年くらいは様子見で、普通の子として育てて良い。
・硬さが出てきたり、気になってきたら、療育医療センターを紹介する。
成長の記録
・出生 32週3日 1,836gで出生 呼吸が安定せず、呼吸器を装着。
生後2週
一時的に体調を崩し、晩期循環不全と診断。急な血圧低下によって応急措置、「ステロイド」投与後、すぐに正常となる。回復が早かったため、これによる 悪影響はないはず、とのこと。
生後4週 退院直前のMRIでPVL(脳室周囲白質軟化症)有りと診断
生後6週 NICU退院
生後4ヶ月 首すわり
生後6ヶ月
お座りが出来るようになる
寝返りは出来ませんが、しようとする
生後7ヶ月
全身に緊張が出てくる
手足の動きが少なくなってくる
寝返りをしようとしなくなる
小児科に相談して、療育医療センターに紹介してもらう
初回の診察まで2ヶ月待ち
生後9ヶ月
手足の緊張が強くなる
別の鍼灸院で治療開始(1回治療を週3ペース)
治療を開始後、手足の緊張が徐々に弱くなる
療育センターへの通院開始(週1ペース)
生後10~11ヶ月
別の鍼灸院で週2、大和鍼灸院で週1ペースで治療
寝返りが出来るようになる
緊張が出てくる前に戻ってきた感じ
生後12ヶ月
大和鍼灸院の特別治療を実施(2週間治療)
1才
ズリバイが出来るようになる
PVL/脳室周囲白質軟化症動画1 令和3年(2021年) 2月24日公開
お母様からのコメント
療育センターに紹介されてから、実際に通院開始するまで2ヶ月間程掛かり、その間に他に出来ることはないかと考え、鍼灸院での治療を開始しました。当初はPVLを謳っている別の鍼灸院で治療をしていましたが、それほど専門的ではなく、経験や実績が豊富な大和鍼灸院にお願いすることに決めました。大和鍼灸院では、自宅での様子を動画で見せて下さいと言われ、現在の麻痺の様子をしっかりと確認して治療を行ってくれます。療育センターにも通いましたが、期待していたものではなく、早くに鍼治療を開始していて良かったと思います。
日に日に出来ることが増えていき、期待も大きくなりますが、それに応えてくれる先生方とこれからも見守っていきたいと思います。
院長コメント A.U君 PVL(脳室周囲白質軟化症)及び合併症・晩期循環不全
さて、レポート9に続いて合併症2例目となるA.U君の症例を公開致します。通常合併症がある場合、PVLのみのお子さんの様な、著しい回復をし続けることが困難ではありますが、合併症の障害を殆ど受けていないケースとして是非ご参照下さい。
「晩期循環不全」はその名の通り、顕著な「血流障害」といっても良い症状を呈します。肺内のみ血圧が上昇し、肺以外の全身では血圧が著しく低下する疾患となります。血圧が低下し続けるということは、新鮮な血液が絶えず送り込まれてこないため、脳神経だけでなく、体内各臓器に障害が起こってくることを意味します。
当院では「合併症」が付記されると、合併症の内容によって「経過観察期間」を設けさせて頂き、その結果「殆ど影響を受けていない」と判断致しました。ただ、若干の不安要素が残るため、「晩期循環不全あり」を明記した状態での治療となりますが、順調な回復が見込めるでしょう。では動画をご覧下さい。
今回は全部で4本入っています。初めの映像は生後9ヶ月のもので、お父さんが足の裏をくすぐったり、色々な刺激を与えても、上体を起こす以外ズリバイ等の気配は殆どありません。続いての映像は、同じ9ヶ月のもので、お座りが出来る補助具に乗っているときは以前から活発で、足をしきりに動かす動作をし、移動することが出来ています。この時は、「寝返り」、「ズリバイ」がまだ出来ない状態です。初診より約2ヶ月後、生後11ヶ月時、寝返りが出来るようになり、当院特別治療実施の12月の翌月にいよいよ、ズリバイが出来るようになってきます。3本目は1才0ヶ月、4本目は1才1ヶ月の変化ですが、ここで解説致します。3本目の映像は、ズリバイが出来た初めての月です。左足の緊張は右足より強いため、右足は床を蹴ることが時々出来ていますが、左足は床を蹴ることが出来ません。4本目は、緊張が更に取れてきたため、右足の蹴り出しに力強さが加わっています。順調な回復ぶりを見せております。
PVL/脳室周囲白質軟化症動画2 令和3年(2021年) 10月26日公開
院長コメント A.U君 PVL(脳室周囲白質軟化症)及び合併症・晩期循環不全
前回の新レポート公開時に、「追加動画」に間に合いませんでしたが、あれから沢山のことができるようになってきました。お母さんから沢山の動画を送って頂きましたが今回は代表して、4本の動画をご覧頂きます。1つ目は「階段上り」が出来るようになりました。続いて2本目は、テーブル越しの伝え歩きです。かかとがしっかりと着いて歩けていますね。3本目は、立った状態で、両手を使ってお水を飲む様子です。時々テーブルに体が着いていない状態でも態勢が崩れることなく、綺麗にお水を飲めています。相当緊張が取れていないと出来ない動きです。そして最後は「たっち」から、初めて「独り歩き」が出来るようになった瞬間です。とても順調に麻痺が取れ、目標に近付いております。もう少し頑張ろうね。
PVL/脳室周囲白質軟化症動画3 令和4年(2022年) 4月1日公開
院長コメント
A.U君は前回、動画2の最後に、初めての「たっち」から何歩か歩くことが出来た映像で終わっています。親御さんからその後の映像を送って頂きました。今回は2つの映像を見てみましょう。動画2は昨年10月撮影のものでした。今回の1つ目は3ヶ月後の1月の映像で、2つ目は5ヶ月後の今年3月の映像になります。
1つ目は、左手に黄色いバケツを持ちながら、立っている映像から始まります。その後のお座りも、上手に出来ていますね。5ヶ月後の映像です。カラスを追い掛けているのでしょうか、綺麗な歩行や、やや小走りの歩行をしています。「かかと」はしっかり地面に着いており、順調な回復ぶりですね。今後は、「走る」、「ジャンプ」の最終段階に入っていきます。もう少し頑張ろうね。