PVL公開動画を全国、海外へ発信することについて
令和元年を一つの節目として、「PVL公開動画」を日本国内外へ発信することと致しました。それは、PVL児だけでなく小児難病、大人の難病の患者さん方の一助になることだけではなく、日本医学界、鍼灸業界全体へ一石を投じる良い機会だとも考えたからです。昨今の鍼灸においては、憂慮すべき現状が山積しているように思います。それは、「治療の結果、どこまで回復するのか」、「結果があいまい」な点です。鍼治療は、体内への神経刺激をする医学の性質を持っています。よって、鍼治療をされると「脳性麻痺」のお子さんは、「手が動かせるようになってきた」、「股関節が柔らかくなってきた」、「言葉が出るようになった」といった、「初歩の改善」、「初歩の回復」は一様に出現し、親御さんはさぞ驚かれるかも知れません。鍼治療を受け初めの1~2か月間は様々な変化に親御さんは喜ばれ、未来に期待を膨らませることでしょう。ここまでは当院に限らず、どの鍼灸院を受診されてもほぼ同じような初期変化をすると思います。ですが、この様な回復変化は、どこで鍼治療を受けても起こる一般的な変化であり、さほど驚くレベルではありません。問題は、その後です。治療開始から半年後、1年後、2年後、最後は「どこまで回復したのか」となると、何一つ実力を示す「結果」がどの鍼灸院でも出てこない、存在しないことが問題と言えます。つまり、「治療を受けて半年たったけど、かかとの硬さは強くなるばかりで、その後どこが良くなったのか分からない」、「初めは色々なところが柔らかくなったけっど、股関節も足首も段々硬くなってきた。1年間受診したけど何が変わったのだろう」といった意見をよく聞かれます。現在「医師」と「鍼灸業界」には「信頼関係」が築かれておらず、むしろ医師の皆さんからは不審がられている傾向があります。病院での定期健診で、「回復している所見は認められない」と指摘を受ける歴史しかないことが原因ではないでしょうか。
この数十年、日本の鍼灸院の歴史では、治療を始めて1年後、2年後の結果を示す歴史が一切ありません。この様な背景が、医師会からの信頼を得られない大きな要因となっているようです。患者さんを取り巻く環境が一刻も早く良好になるために、患者さんが通われる定期健診で担当医より「来るたびごとに緊張が取れていますね」、「前回来た時より麻痺が取れていますね」と言って頂けるよう、「結果」を公表・公開できる鍼灸院が多く出現することを願っております。
さて当院では、公開動画のお子さん方で動画の一本目はどのお子さんも、綺麗なハイハイ、つかまり立ちもできない状態から「現在進行形」という形で実況生中継をしております。3ヶ月後、6ヶ月後、一年後はどの様になるのか「先が見えない」状態から公開を始めております。そして誰もが「回復の一途を辿っている」点を是非、注目して頂きたいと思っております。現在までの鍼灸院では、「治療前(before)」、「治療後(after)」を公開できる歴史がありません。1年後、2年後の経過後、「どこが変わったのか分からない」といった現実があるからです。PVLについて多くのお問い合わせを頂きますが、いつも「3ヶ月間程試されてみては如何ですか」とお勧めしています。麻痺や緊張が目立ち始める生後10ヶ月前後位から治療をすれば、「初歩の改善」、「初歩の回復」といったレベルでは終わらないことが、容易に実感できることでしょう。また、この度の公開動画にご協力下さいました親御さんのお力添えには、この場を借りて深く感謝を申し上げたいと思います。今後ともご協力下さいますよう宜しくお願い致します。脳性麻痺児、PVL児を助けるために、情報発信のバトンをつないでいきたいと思います。
今後も引き続き「公開動画」を拡大して参りますので、どうぞご期待下さい。1つ1つのレポートを丁寧に取り上げ、1年後、2年後、3年~後、どこまで治って行くのかその結果を公開し、患者さん方から信頼される鍼灸院となれますよう頑張って行きたいと考えております。
令和 3年 2月 大和鍼灸院 院長 横 内 徹