PVL/脳室周囲白質軟化症 治療前・治療後の最新動画 レポート8
レポート1~4までは、PVL(脳室周囲白質軟化症)当院の指標、PVL/大和スケール・グレード3を軸に公開致しました。グレード3は様々な緊張はあるものの、「独歩が出来る」お子さんのグループになります。緊張、運動障害の出方がはっきりしており、また軽度グループなので、治療効果の変化が大きく出やすく、分かり易いグループになります。参考までに下記に、グレード1~3、グレード4~6、グレード7、8、グレード9、10を掲載します。
- グレード1~3 軽度であり、かかとが浮いてしまう、足先が内転するなど、様々な緊張や硬さといった麻痺はあるものの、自身での立位、独歩が出来る。
- グレード4~6 やや重い運動障害や若干の知的障害を伴う場合がある。自身での立位不可、独歩不可。全身各所の筋の過緊張が強く出ており、足がクロスする。
- グレード7、8 出生時体重500g以下で予後不良、または新生児仮死などの合併症をわずかながら伴うグループ。かなり重い運動障害や知的障害がある。自身での立位不可、独歩不可。グレード4~6よりも一段と全身の過緊張が強く出る。
- グレード9、10 最重度の運動障害、知的障害がある。3才になっても寝返り不可、移動不可、視力0で、治療効果が大変出にくいタイプ。
独歩が出来るタイプのお子さん方は、治療期間が最も早く終了するタイプですので、
独歩が出来るお子さんがいらっしゃる方は、早期に治療を行った方が良いでしょう。レポート4までは、分かり易い変化をする、独歩が出来る軽度グループを先行して公開致しました。さて、準備が整ってきましたのでこれより、やや重いグループ、グレード4~6をしばらく公開致します。今しばらくお待ち下さい。
レポート8
I.S君 群馬県在住 初診 令和2年1月28日(11ヶ月/翌日12ヶ月) PVL(脳室周囲白質軟化症)
医師から言われた言葉
PVLは、良くもならないが悪くもならない。今後のことは誰にも分りません。はっきりしたことは言えませんが、歩けないことも視野に入れた方が良い。車椅子や杖での生活の可能性もあります。今出来ることはリハビリ。まずは通ってみて下さい。
リハビリに行けば良くなると思っていましたが、リハビリでは特にマッサージなどもなく遊びを通しての今後の課題を言われ、「これで良いのか?」と不安になりました。
診断してくれたドクターは、教科書を見ながら説明をしてくれて、「本当にこの先生分かってる?」と不安になりました。何も分からない私にとってドクターの言うことが全てで、この先「不安」しかなかったです。
成長の節目の記録
・出生 40週4日 3,440g
・首すわり 2ヶ月半
・寝返り 6ヶ月
・ずりばい 1才
・つかまり立ち、伝え歩き 1才1ヶ月
PVL/脳室周囲白質軟化症動画1 令和2年(2020年)8月22日公開
院長コメント I.S君 PVL(脳室周囲白質軟化症) グレード5
毎週1回、1日治療を継続(治療内容は特別治療となります)
I.S君も回復が早いタイプでグレード5の重さになります。初回に公開する動画は、全部で5本入っております。初診時は生後約11ヶ月で、動画の1本目はちょうどその頃の映像になります。I.S君は「右脳白質」がかなり出来ておらず、よって反対側の「左半身」に麻痺の影響が強く出てくるタイプです。11ヶ月頃の状態は、ズリバイによる移動は出来ない状態です。2本目の動画は、治療開始から約1ヶ月後になりますが、「ズリバイ」が出来るようになりました。この1、2本目の動画で「左足」の使い方にご注目下さい。右足は、床を蹴ろうと足先を上下に動かしておりますが、左足の反応が弱く、殆ど動かせていない様子が分かります。白質が出来ていない場合の多くは「緊張」が出現し、「硬い動き」が特徴となりますが、白質が殆ど形成されていない場合は、情報が全く伝達されないためこの様に「動き自体」が無くなります。3、4本目はほぼ同時にできるようになり、お父さんのあぐらの上にお座りしてからのつかまり立ち、そして伝え歩きが出来るようになりました。「白質」は出生後であっても徐々に新しく形成される神経組織ですのでご安心下さい。テンポの良い回復ぶりです。綺麗なハイハイを飛び越してしまいましたが、初診から6ヶ月後、いよいよ綺麗に歩き始めます。お母さんは相当お喜びになり、とても嬉しそうでした。今後は細かい部分の緊張を取り除く期間となり、全身の緊張をくまなく取っていき、ゴールを目指します。早く歩けるようになって良かったですね。
PVL/脳室周囲白質軟化症動画2 令和2年(2020年)12月12日公開
院長コメント I.S君 PVL(脳室周囲白質軟化症) グレード5
レポート8、I.S君の追加動画を公開致します。I.S君はグレード5で回復が早いタイプになります。前回、動画の最後の場面では、初めて綺麗に歩くことが出来たところで終了しました。その後、手、体幹、両下肢の細部に至る小さな麻痺を取り除いていき、治療終了の目途がたってきました。前回の動画では「ハイハイ」を飛び越えて「つかまり立ち」、「伝え歩き」、「綺麗な歩行」と移行しましたが、お母さんのご協力を頂き、今回は「ハイハイ」から立ち上がる動作。お外では、はしゃぎながら止まったままの「小走り」。そして最後は正しい歩行がずっと出来ております。間もなく治療終了を迎えます。「おめでとうございます」まで、あと一歩ですよ、頑張ってね。
PVL/脳室周囲白質軟化症動画2 令和3年(2021年)6月8日公開
院長コメント
今回は全部で3本入っております。お父さんお母さん、動画を送って下さり有難うございます。では、動画を見てみましょう。初めは、ソファーによじ登ることが出来るようになった様子が映っています。続いて、室内でおもちゃのバイクに乗り、上手に操作をしながら遊んでいますね。3つ目は、大好きなおじいちゃんと屋内通路を並んで歩いており、終盤には綺麗な小走りが出来るようになったものです。順調な回復ぶりで、一安心ですね。