脳室周囲白質軟化症(PVL) /

脳室周囲白質軟化症(PVL)

令和3年7月大和鍼灸院・院長 横内 徹 作成

脳性麻痺・脳室周囲白質軟化症(PVL)

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PVL・大人治療のご案内

近年、運動障害を持つ成人の方が増えてきております。幼少のころ「脳性麻痺」と診断され、下肢を中心とした過緊張による運動障害で「歩行しずらい」、「過緊張のため体が疲れる」など、様々な訴えを持つ方がいらっしゃいます。

病院の診断で「脳性麻痺」による運動障害、病名が付かなかった運動障害などの殆どは、「脳室周囲白質軟化症(PVL)」が原因で起こる運動障害です。PVLが原因で起こる運動障害は大人になっても十分回復が見込めます。当院では運動障害を持つ成人の患者さん方も常時通院され、効果を上げております。ご希望ご関心がありましたら当院まで一度お尋ね下さい。*特に女性の方は回復が大きく見込めます。

PVL治療についての当院の方針

PVL(脳室周囲白質軟化症)について当院では、大きな回復が見込めることから、長年にわたって多くのPVL児の治療に当たってまいりました。PVLの症状は、かかとが浮いてしまうけれど、独歩ができるといった軽度の症状を見せるお子さんもいれば、幼児期から寝返りができない、1才になってもハイハイができないといった重度のお子さんもいらっしゃいます。ですが公開中の「最新の治療動画」、「PVL治療と成長の記録」にあるように、軽度のお子さんは「かかと」を着けてきれいに歩けるようになることが多くまた、重度のお子さんについても、ズリバイ、ハイハイが出来るようになったり、普通に歩ける、普通に走れるようになったりすることも可能になってまいりました。

ただ、軽度のグループでは「かかと」を着けて歩く、中等度~重度のグループでは、きれいなハイハイや普通に歩く、普通に走れるといったことが困難な場合もあります。その場合軽度のグループでは「かかと」が着きやすくなる、中等度~重度のグループでは「自立生活ができる」ことを目標にして治療を行います。

PVLの回復については、個人差が大きな課題となり、緊張や麻痺の出方も千差万別です。回復の目標や治療効果の出方については、当院ご受診後担当先生とよく相談し合い決めていくことになります。

軽度のお子さんも、中等度~重度のお子さんも大きな回復は十分に期待できます。すべての疾患は「早期発見・早期治療」という言葉があるように、どれだけ早くから治療を開始できるのかが大きなカギとなりますので、是非一度治療をご検討なさってみて下さい。


今後のPVL治療について

PVL(脳室周囲白質軟化症)について、年々多くのご質問が全国から寄せられております。「本当に緊張は取れていきますか」、「かかとを着けて歩けるようになりますか」、「治療開始が遅れると、どうなりますか」など。また通院中の患者様方からのご紹介で来院される患者さん方も多く、その中で治療を躊躇される親御さんもいらっしゃるようです。その理由は「もし、とても重かったらどうしよう」、「回復することは困難と言われたら」といったご心配されるお声もお聞きしています。

ですが勇気を出して第一歩を踏み出して頂きたいと思います。脳性麻痺、殊にPVLはどこまでも回復が期待される唯一の小児麻痺です。従来の鍼灸では「改善する」、「良くなる」といった曖昧な表現しか用いられていません。その理由は「明らかに回復している」、「かかとを着けて歩けるようになった」、「1才を過ぎてもハイハイが出来なかったけど、ハイハイ、つかまり立ち、歩けるようになった」など、「著しい回復」といった治療効果を出すことに成功した鍼灸の歴史はありません。*治療前、治療後を公開できることが大切です

令和元年より始まった「PVL・最新の治療動画」では、治療前の麻痺の状態から治療後、どこまで過緊張が取れているのか、鍼灸業界で初めて「治療結果」を公開し、「著しい回復が可能」であることを証明して参りました。また、令和4年4月から導入された「PVL治療と成長の記録」では、新生児(幼児期)から始まった当院治療では、より具体的にどのように回復していくのかを公開しております。PVLが主訴でその他に合併症(重いてんかん、脳出血などを同時に持つ)がなければ、殆どのお子さんは回復していくことはお約束できるでしょう。従来の鍼灸院では治療1年後、治療2年後、「本当にどこまで回復していますか」といった実力を示す「治療結果」を開示する歴史が全くありません。当院では「大きな希望」を持って頂く意味でも、またご期待にお応えできる歴史を積み重ねていく意味でも、今後も「治療を受けるかどうかの指標」にして頂くため、「PVL・最新の治療動画」、「PVL治療と成長の記録」を拡大し、一人でも多くのPVL児が普通の生活ができることを目指し、全国にその様子を発信していきたいと考えております。

令和4年12月   大和鍼灸院・院長  横 内  徹


「かかとが浮く」、独歩ができる子供達への治療

PVLに関するお問い合わせが多い中、親御さんからのご質問は「どこまで回復するのだろう」といったご意見が大半を占めています。それは、症状の状態(軽度~重度)によって大きく変わってきます。まず軽度~中等度のお子さん方については、かかとを着けて歩けるようになるケースが非常に多く、大きな期待を持って頂きたいと思います。次にご関心が高いのは、「いつから治療を始めればよいのだろう」といったご意見が多く寄せられます。ここで治療開始の目安や、軽度~中等度のお子さんは、「かかとを着けて」普通に歩けることを目指して行くことについて触れておきましょう。

当院「PVL最新の治療動画」をご参照頂きながら解説していきます。軽度~中等度に当たるお子さんで、1才前から治療を開始したレポート6(生後10ヶ月)、レポート8(生後11ヶ月)、レポート10(生後8ヶ月)のお子さんです。この3組のお子さん方は皆、グレード5相当で中等度の乳児の子供達です。共通しているのは「ハイハイ」が出来ず、首すわり、寝返りが出来るようになっても「ズリバイ」が何とか出来る様子が映っています。ですが当院の治療が始まると、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月後、その後~といった「治療結果」をみると、きれいなハイハイが出現し、次につかまり立ち、伝え歩き、そしていよいよ手を放して歩くことが出来るようになっています。ここで注目して頂きたいことは、どのお子さんも既に「かかとを着けて」いることです。1才前から治療を開始した場合、軽度~中等度のお子さん方の殆どは、この様な経過をたどって回復に向かいます。

次に「早期治療」が出来なかったケースを見てみましょう。今度は軽度のグループでレポート11(3才)、レポート12(8才)、レポート14(6才6ヶ月)、15(5才)、16(6才2ヶ月)のお子さんです。(*1才代~3才前後は様々な変化をする場合があるため、個々にプランを立てます)。 おおよそ5才を過ぎた場合、緊張の質が一段と強まるため「3週間特別治療」をスタートから始めることが多く、お子さんの症状の特徴、緊張の強さによりますが約12ヶ月の治療で大きな緊張を取り除いていきます。ゆっくり~普通の速さでは、「かかとを着けて」歩けるようになることが多いでしょう。12ヶ月を過ぎたその後は治療頻度が少なくなり、速足(はやあし)でも「かかとを着けて」歩ける、ジャンプが出来るようになる等を獲得していきます。いわゆる「最終段階」の治療になります。レポート12のお子さんは正に「治療前」→「最終段階」を終えたときに撮影したものになります。現在レポート14、15、16のお子さん方はそろそろ「最終段階」に入るところに来ています。

さて、重度のお子さん方はどうでしょう。重度の場合は様々な回復変化をしていきますが、まずは一つ一つの目標、1.寝返り、2.ズリバイ、3.ハイハイ、4.つかまり立ち、5.伝え歩き、6.手を放して歩く、といったように目標を立てていきます。通常症状が強い場合は、きれいに「かかとを着けて」歩くことは困難な場合が多々あります。ですが、それは症状の内容によって大きく変わるため、想定以上に著しい回復を見せる場合もあります。初診時からは、具体的な回復変化を予見しずらいため、回復変化をみながら一つ一つ手の届く目標を定め、順々に高い目標に向かっていきます。

当院では出来るだけ「治療前」→「治療後」、いわゆるビフォアー&アフターを公開していきたいと思います。PVL(脳室周囲白質軟化症)は唯一と言っても良いほど、多岐にわたる脳性麻痺の中で著しい回復変化をしていく子供達です。治療開始から1年後、2年後、その後はどこまで回復していくのか。今後も親御さん方のご期待にお応えできるよう、努めていきたいと思います。 *上記以外の内容で、何かご質問などがございましたら、お気兼ねなく当院までご質問下さい。

*最新動画公開中のお子さん方は現在、「コロナ禍」の影響により治療を中断されたケース、県外移動ができない、合併症の判明、その他の理由により複数の方は治療が保留になっております。現在通院中のお子さん方を中心に、「その後」を公開していきます。予めご了承下さい。また、レポート8、レポート10のお子さんは間もなく終了となる見込みです。追加の動画を公開予定ですのでしばらくお待ち下さい。

*3週間特別治療につきましては、年間数組のみしか受付できませんので、ご希望のある方は早めにご相談下さい。また、3週間特別治療を実施する際、ベビーカー(又は車いす)が必要になります。予めご用意下さい。ベビーカー利用についての詳細は、初診時にご説明させて頂きます。

                 

令和5年2月  大和鍼灸院・院長  横 内  徹


脳室周囲白質軟化症(PVL)って何だろう?

脳室周囲白質軟化症

脳室周囲白質軟化症(PVL)について、学術的な解説や専門用語ばかりを目にする機会が多いのではないでしょうか。脳室周囲白質軟化症(以後、PVL)という疾患は、脳の中で一体何が起きて様々な症状が出て来るのでしょう。ここでは、出来るだけ分かり易い形でお話をしていきたいと思います。PVLは妊娠後期(妊娠24週~36週)に発生する病気です。言い換えれば、この妊娠24週~36週は白質が育っていく大切な期間とも言えるでしょう。ですが何故、「白質」が軟化して障害を受けてしまうのか。それは、脳の血流障害をこの時期に受けてしまうからです。多くの場合、お腹の中にいる時に、胎盤やへその緒などの血管が圧迫されたことによって、脳内に運ばれる血液の量が減ってしまうために、白質の栄養や酸素が不十分となり、障害(軟化)が発生してしまうのです。それでも胎児は良く動くものです、胎盤やへその緒などへの圧迫がずっと続くものではありません。脳神経の他の部分が影響を受けるわけではなくまた、心音も正常です。障害を受けていない胎児とほぼ同じように、体内で育っているため、尚のこと発見しずらいこともあるでしょう。(*脳室周囲白質が損傷する理由は、その他の原因も若干あります)

出生前、出生後に病院でPVLと診断を受けるケースが多いのですが、見落とされてしまう場合も多いことが現状です。PVLではない原因の脳性麻痺ではどうでしょう。通常、脳性麻痺が出現する場合、異常所見が胎児期や出産直後に必ず現れます。脳波異常(てんかん)があるときなどは痙攣を起こしたり、脳出血が起こる場合、呼吸や血圧が急変し、虚血性脳症では心肺の停止や、その他の異常所見が必ず現れます。ですがPVLの場合、障害は出産後しばらくたってから徐々に現れるものなので、胎児期、出産直後に顕著な病変が起こらず、見落とされてしまうことがあります。出産時に病院からは何も言われなかった。お話が無かったけれども、発育過程で「かかとの硬さ」が気になる、「首すわり」が随分遅い、時期が過ぎても「寝返り」をしないといった場合、PVLであることが疑われます。


障害を受けるところ

脳室周囲白質には、運動神経路や視神経路が走行しているため、手や足、体幹などに過緊張が発生したり、視覚の障害が出てくるケースが多いでしょう。軽い場合は足先が内旋する、かかとが浮いてしまうといった症状が出現します。重くなるとそれらに加え、股関節の硬さから足がクロスする、痙直型両麻痺(両足が突っ張ってしまう)の出現、手の親指が内に入ってしまったり、手や腕が内旋する。腕を巻き込むように体幹に入ってしまい外へ出なくなる、といった運動障害が出てきます。

視覚障害では、「目で見て理解する感覚」や「空間認知(物の形や大きさなどを理解する能力)」に問題が発生することがあります。また、視力低下や斜視が起こることもあります。


脳室周囲白質軟化症(PVL)が、他の脳性麻痺とは異なっているところ

「脳性麻痺」と言われる障害では、その原因となるものが何かが、大きなポイントになってきます。原因が「頭蓋内出血(脳室上衣下出血)」や「急性脳症」であったり、「ウエスト症候群(てんかん)」や「新生児仮死(数分以上の呼吸停止)」などだけでなく、脈管系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患などが原因で脳性麻痺を起こすこともあります。これらが原因で脳性麻痺が起こった場合、著しい運動障害が出現します。また、知的能力も大きくダメージを受けることが殆どと言っても良いでしょう。それらが原因で起こった脳性麻痺では「寝たまま動けない」といった運動障害のレベルが多いことも挙げられます。 PVLではどうでしょう。総体的に言えば、重いケースもありますが「独歩が出来る」軽い症状しか出ない場合や、立位時はかかとがちゃんと着くけれど、歩き始めるとかかとだけが浮いてしまったり、ズリバイで移動が出来るといったレベルのものもあります。ですがPVL以外の脳性麻痺の殆どは、「立つ」、「歩く」、「自力での移動が出来る」といったレベルは起こりえず、重篤な症状を呈するものが非常に多いことが現状です。また、知的能力の領域ではどうでしょう。PVL以外の脳性麻痺ではやはり、どの疾患も「著しい知的障害を受ける」ことが殆どです。ですがPVLでは、「知的能力は殆ど影響を受けない」ことも大きな特徴です。(*非常に重いレベルでは、知的障害も出現します)

PVLは正に、「注目すべき脳性麻痺」と言えるのではないでしょうか。PVLが、顕著な回復をし続けていく理由は、上記のような理由もあるのかも知れません。


脳性麻痺の現状

現在、PVLに限らず脳性麻痺の殆どは、医学界ではなすすべが無く、病院でのPT、OT、リハビリを行っても症状の進行は止まることは殆どありません。病院では「悪化はすることがあっても、回復することはありません」と指摘されるように、現在までの鍼灸業界にあっても悪化を止め、「回復」させることはできないでしょう。手や足、体幹、股関節などで起こる緊張は、少しづつ強まって行くのが現状です。ですが諦めることはありません。当院ではPVLだけでなく、様々な小児脳性麻痺、合併症を伴うもの、その他の疾患においても大変喜ばしい成果を上げております。*現在までの鍼灸では、実力を示す「治療前」~「治療後」の正確な記録、写真や動画が公開された歴史はありません。


 

機能獲得トレーニングの実施

当院実施の機能トレーニングは、「治療後、体内で起こっている過緊張が消失していく」直後に行うため、寝返り、ズリバイ、ハイハイ、お座り、つかまり立ちなどが比較的早い段階で出現します(*特に、0才時から治療開始の場合)。当院担当先生が、親御さんと一緒に行いますので、親御さんも同時に習得できご自宅でも出来るようになります。


 

 

脳性麻痺の運動障害について

出生後の運動障害(PVL)について

出生してからの運動障害(過緊張)について触れておきましょう。出生して間もない1ヶ月、2ヶ月目ぐらいまでは、目立った硬さは分からないことが多いでしょう。緊張が強く出ている場合では、3~4ヶ月目あたりから硬さが目立ち始める時期です。その後1ヶ月単位で様々な過緊張が徐々に出現してきます。症状の軽度~重度によって、出現する時期や緊張の種類が異なってきますが、概ね標準値を、以下に記しますのでご参照下さい。


 

*正しい発達(標準)の目安

3~4ヶ月 触れたものをつかむ、首すわり
5~7ヶ月 寝返り、お座り
8~10ヶ月  ハイハイ、つかまり立ち
10~12ヶ月 伝え歩き、一人歩きの始まり

運動障害(PVL)の出現目安

3~4ヶ月

手をグーにすると、親指だけ中に入っている
足を動かすときによく尖足(足をぴんと伸ばす)になる
仰向けで膝を曲げ、両足を開こうとすると硬さが目立つ
首すわりが遅い
触れたものをつかめない(手がグーになりっぱなしで、手が開かない)

5~7ヶ月

3~4ヶ月の緊張が徐々に強くなる
足先だけでなく足全体がピンと伸ばしっぱなしになる
手を動かそうとすると、内旋(内側へ回る)する
足先が内旋する(足先が内側へ向く)
寝返り、お座りが出来ない

8~10ヶ月

上記の緊張が徐々に強くなる
足がピンと伸びたままクロスする
全身の硬さが目立ち始める
ズリバイをする(*健常児の場合、出現しません)
ハイハイ、つかまり立ちが出来ない

10~12ヶ月

全身各部位の緊張が強まっていく
背中をそり返す

注:拇指(手)の麻痺について

拇指の麻痺について触れておきましょう。通常拇指の麻痺については、どの親御さんも病院の医師に指摘されることは殆どないでしょう。ですが当院では全身の麻痺、殊に拇指の麻痺についても重要視しております。当院を受診される親御さんにはご説明させて頂いておりますが、拇指の麻痺を放っておくとお子さんの私生活にも影響するだけでなく、「かかとを着けて歩く」ことについても悪影響を及ぼします。体内の過緊張は、興奮したり緊張が強まったとき、手だけが緊張して足は緊張しなかったり、かかとだけが緊張して浮くとき、体幹や手の拇指は緊張しないということはありません。例えば道路の交差点で急にトラックが目の前に来た時、皆さんは「全身が硬直」することはお分かり頂けることでしょう。また、アームレスリングなどでは両選手がテーブルの上に手を組み、「腕力だけ」の勝負をします。指相撲をするときは手や指に力を入れて勝負をします。ですが気が付くと、全身に力を込めていることに気が付かれることでしょう。

それはPVL児の場合でも同様に、「どこかが緊張すると全身が反応する」ことを意味します。例え足の過緊張だけを取り除こうとしても体幹や手の指に緊張が残っていたら、足の緊張が取れ始めても「体幹」や「拇指」の緊張によって、せっかく緩んできたかかとの緊張も、連動して反応してしまうため、緊張が復活していきます。最も目立つ緊張する部位は「かかと」や「股関節」ですが、これら麻痺を起こしている部位の緊張を取り除く場合、手の指といった見逃されやすい部位の緊張も、見逃してはなりません。また手の指は、物をつかむときや絵をかくときに重要な役割を果たします。小学校や中学校へ行くといよいよ勉強が待っています。先生の話をメモに残したり、試験のため指を酷使します。毎日の生活の中で手の指は、年々重要になり生涯にわたって影響してきます。よって当院では、最も目立つ足だけでなく、全身の緊張を起こしている部位を全て見逃さず、同時に過緊張を取り除く治療を行っていきます。手や指の緊張は決して見逃してはいけません。

運動障害の種類や内容は、軽度~重度のものを挙げておきました。お子さんによってはその他にも、動き自体が弱々しく、緊張よりも弛緩(力が入らない)する動きが特徴の場合があったり、白質の形成過程で左右差があり、片側だけ硬さが目立ったり、逆に弱かったりすることもあり、上記以外の運動障害が出てくる場合もあります。

運動障害(緊張)がいつ出てくるのか、またどの様な種類のものが出現するのか、初めから分かっていれば、早期に対応することができ緊張は徐々に消失していきます。緊張の軽度~重度、症状の出方はお子さんによってかなり異なってきますので、早めにご受診されることをお勧めしています。

 

 

PVL・症状診断について

PVL・症状診断についてご案内致します。「PVL」についてのお問い合わせが非常に多く、また、お子さんの症状について、親御さんからのご説明が文章では十分に伝わりにくいケースが多いことから、令和3年10月より、「お子さんの動画」を送って頂き当院・院長より直接診断して頂きます(記録動画時間:約30秒~1、2分程度まで)。

この「動画診断」については、当院受診希望のある方、又は検討中の方に限らせて頂き、1回のみの診断とさせて頂きます。診断結果、今後予想されること(予後)や当院の治療効果について説明致します。また、可能な場合は「グレード1~6」、「グレード7以上」の診断もする場合がございます。(*出生後6ヶ月未満のお子さんの場合、緊張が十分に出きっていないことが多いため、グレード表記が出来ない場合もあります)。

お子さんの情報では1.「出生時体重」、2.「出生日数」3.「合併症の有無」は必須となります。また、「修正~ヶ月」表記は参考にならないため、必ず「出生後~ヶ月」とご明記下さい。

申し込み方法

「お問い合わせ」ホームより、必要事項を記入の上、「動画診断希望」とご明記下さい。またその際、1.「出生時体重」、2.「出生日数」、3.「合併症の有無」も併せてお知らせ下さい。折り返し、動画添付用のアドレスを返信致します。お送りしたアドレスにお子さんの動画を添付(情報量が大きすぎ、添付できない場合、画像が多少荒くなっても構いませんので、バイト数を下げてお送り下さい)して頂きお送り下さい。後日院長からの診断を送らせて頂きます。

 

 

脳室周囲白質軟化症(PVL)

PVLの根本的な回復は、西洋医学の性質上困難であった背景

近年まで小児疾患の対応は、応急措置や手術、出生後の徹底した医学的、衛生的管理を含め正に日本の医学は、世界トップ水準であることは明らかでしょう。殊に小児科医、NICU勤務医の小児に掛ける熱意やご尽力は、良く知られる通りです。現在までの西洋医学の特徴は、1.「手術」、2.「投薬療法」、3.「PT,OT,ST等の補助療法」といった領域を得意とするのが特徴となります。従って、原因となる病巣「白質自体」に直接働きかけることや、「薬の効果(一時的に作用するのみ)/ボトックス等」を利用しないで、「筋の過緊張を消失させる」ことは得意としません。また、今日まで小児脳性麻痺児に係る「回復させるための領域」では広く知られるように、PT(理学療法)、OT(作業療法)、ST(言語聴覚療法)が多くの医療機関で採用、実施されております。PT、OT、STの発祥は欧米からのもので、日本医学界は欧米諸国に準拠した療法を採用しているといった歴史を持ちます。この様な背景から、PVL(脳室周囲白質軟化症)の原因である「白質」自体への直接的な働き掛けや、「白質」に作用しながら「知的障害の回復」、「過緊張の消失」といった治療法は、西洋医学界では未だ確立されていませんでした。

PVL(脳室周囲白質軟化症)治療、正常化へ向けての医学理論と鍼技術の革命

東西医学において、「知的障害」及び「運動障害」を伴う小児を、「脳性麻痺」、「広汎性発達障害」、「精神発達遅滞」と、おおむねこの3つの用語を、特に病院では使っております。「脳性麻痺」となってしまう「原因」としては、「てんかん発作」、「出生時仮死」、「脳膜炎」、「くも膜下出血」、「重症黄疸」、「先天性代謝異常」、「遺伝性疾患」、「水頭症」、「滑脳症」、「列脳症」、「レット症候群」、「先天性大脳白質形成不全症」~中略、など原因となる種類は膨大な数に及びます。その膨大な数の中の1つに「脳室周囲白質軟化症(PVL)」が存在します。上記に挙げた原因はどれも難治性であり、また、発症する症状に「知的障害」及び「運動障害」など、多くの共通点が存在することから、西洋医学界では今日も尚、「原因となる病名」より、大きなくくりとして「脳性麻痺」と呼んでおります。

この様な医学的背景から何故、PVL児への治療法が可能で、出生後の「知的障害」及び「運動障害」が顕著に回復していくのか。その理論的根拠は正に「白質のみ」が、脳性麻痺に関与しているのか、その他の部位が原因だったり、「損傷しているのか」が、決定的な焦点部分となります。PVL(脳室周囲白質軟化症)治療において、知的障害及び運動障害を著しく回復させる治療法である「医学技術」がようやく、当院で完成したため、「PVLは著しく回復する(軽度~中等度/重度は自立生活を目指す)」道が日本史上初めて、実現したのです(平成18年5月、「PVLは著しく回復する(軽度~中等度/重度は自立生活を目指す)」ことを発表)。

 

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