「秩序」に引き続き、「自然動物界の掟」について触れてみたいと思います。
自然界は正に「秩序」の宝庫と言えるかも知れません。自然界には約300万種の生物が生息していると言われています。特定の1種族が極端に繁栄をし、他の種を脅かすことなく、共生し合っております。さてここで、「自然動物界の掟」に焦点を当ててみましょう。「ヒト」という種族は「サル」から分化した種族です。従って、参考とする要素を大きな枠として「動物」からそのヒントをもらいましょう。

 

    

 

皆さんも一度はご覧になったことがおありかと思います。時折テレビの特集で、「動物の実態」を捉えた映像が報道されています。ではここで、代表する動物として「ライオン」と「オオカミ」に登場して頂きましょう。前もって触れておきたいことがあります。この「ライオン」も「オオカミ」も、ほぼ人間と同じく、約300万年生息、繁栄している点です。「ライオン」の子も、「オオカミ」の子も、世代が変わるごとに「衰える」ことは一切なく。300万年たった今も尚、その元気闊達度は原始のまま生き生きとしております。何故300万種の中の「ヒト」という動物のみが、これほど「元気のない子供」、「力の弱い次世代」になってしまったのでしょう。このままでは「ヒト」の種は滅んでしまうのではないでしょうか。正常な「ヒト」の在り様、今後何世代も元気闊達な我が子に育てるには、いったい何が必要なのでしょう。自然界から生まれた「人間」に必須なキーワードを、自然界で暮らす野生動物達から今一度、答えを頂きましょう。

 

テレビのアングルはある母子のライオンを追い掛けています。生後まだ数ヶ月の子供ライオン数頭は、母の後ろにくっついたり隠れたいしていました。母は身をかがめ、辺りを見渡し警戒しています。どうやら外敵の存在を確認しているようです。数ヶ月が経ち、その親子は狩りに出掛けるようでした。獲物を確認したためか、母ライオンは身を低くしました。同時に子供ライオンは、母の特別な気配を認知し、同じように身を低くし待機しています。前方数百メートルに、一頭の水牛を発見しました。母ライオンは、高穂の間を身を低くしたまま接近して行きます。捕獲の距離に達したのか呼吸を整えた次の一瞬、後ろ足を力強く蹴り、猛然と水牛に襲い掛かります。逃げる水牛に追い着き狙いを定めると、斜め後方から水牛の喉に噛み付きました。水牛は横倒しになり、何度も暴れましたが次第に抵抗力を失います。

 

     

 

次のアングルは、母子オオカミを映し出していました。こちらは母オオカミ一頭と、子供オオカミ一頭という組み合わせです。このオオカミの子供もまだ生後2~3か月といったところでしょうか。子供が生まれてから1年が経ち、一通り「生き抜く術(すべ)」を習得した頃、この母子オオカミをテレビの映像が追い掛けます。子供オオカミは1年も経つと母オオカミと全く同じ大きさとなっていて、一瞬どちらが母オオカミか分からないくらいです。数日アングルを向けていると、ちょうど「巣立ち」の瞬間に出会いました。いつものように子供オオカミが、安心して母オオカミに近付くと、母オオカミは一変して突如ものすごい形相と共に牙をむき、子供オオカミに襲い掛かりました。子供は身をひるがえしてよけ、距離を保ちますが又母に近付こうとします。ですが何度近付こうとしても、近付くたびにむき出しの牙に出会い近付けません。次第に子供オオカミは察したように、一匹で母のもとを離れ歩き出していきました。巣立ちの日がやってきたのです。

 

     

 

どうでしたか、この2組の親子関係。ライオンは恐怖をいとわず、水牛に襲い掛かりました。狩りに失敗すれば水牛の前足も強靭です、前足で母ライオンの頭部が一撃されれば、母ライオンの方が即死しかねませんでした。ですが、一頭で狩りに成功する術を習得しなければ、子供ライオンが群れからはぐれ、一人っきりになったら。仲間たちと離れてしまい迷って一人っきりになってしまったら。狩りが出来なければそれは即「死」を意味します。頼みは自分自身で習得した能力のみです。「巣立ちの日」がやってきた時、子供にむき出しの「牙」で威嚇した母オオカミの「凄み」、「迫力」は如何だったでしょう。300万年経っても尚、子供たちの生命力が衰えない原動力は、気が緩むことが一切ない「凄み」、「迫力」を伴った「能力」を持たせることではないでしょうか。さて、ここでもう一歩踏み込みましょう。ライオン、オオカミは、例えば警戒をする能力。獲物を狩る能力では「身体能力」を授かるとともに、もう一つ同時に親から習得するものがあります。狩りをする身体能力(運動能力)は人間の場合、「建物を建てる技術(身体能力)」であったり、「家具を作る技術(身体能力)」、外で農作業をする「田植えの仕方(身体能力)」などでしょう。ライオン、オオカミはもう一つ見せてくれました。それは『内面』に相当する「凄み」、「迫力」、恐怖をも乗り越える「精神力」です。野生動物は見せてくれます、「運動能力(外面)」と同時に「内面能力(精神能力)」の2つの能力が無ければ、健全な種の繁栄は存在しないのだと。

 

では、「ヒト」にとっての「内面能力(精神能力)」とはいったい、何を指すのでしょう。世界の中で、日本文化のみが創出することに成功した『心』が、いよいよ登場して参ります。『心』の完成が、世界の理想秩序をもたらすかも知れません。